王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 花束を手にしたシーラが遠慮がちに尋ねてきたため、エメリーネは柔らかく頷いた。
 どうやら花束があまりにも大きく、一つの花瓶にはとうてい入りきらないらしい。
「ええ、お願いするわ。それが終わったら、お茶の用意もしてもらえる?」
「申し訳ありません。先に準備するべきでした」
「いいのよ。わたくしが先に花を活けるように言ったのだから」
 そんなやりとりを眺めていたオディロンが、ふっと腰を浮かせる。
 エメリーネは驚き、眉をあげて彼を見た。
「あら? ベルジュ公爵。もしかしてお帰りになるの? お茶もお出ししないから、お気を悪くされたのかしら?」
「まさか。俺がそんな心の狭い人間に見えるのか?」
 そう応じながら、オディロンは自らティーセットに手を伸ばす。
「相変わらずここは人手が足りていないようだな。彼女一人では手が回らないだろう?」
「まさか……」
「なんだ? 俺の淹れたお茶は飲めないとでも?」
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