王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 そもそもリマンドの街はコソラ辺境伯が治める領地内にある。私兵が禁じられるこの国だが、辺境だけは国防という観点から例外だった。こういった蛮族からの襲来に備えて私兵団を持つというのに、なぜか第一師団が蛮族討伐を命じられたというわけだ。
 国王からの命令であれば、オディロンだって逆らえない。
「こう言うのもなんだが……今の陛下は、アルマスの言いなりだろう?」
 エメリーネもそれを否定する気はない。見る者が見れば、明らかなその関係。
「宰相閣下は、昔から俺を敵視しているからな」
「そうは言いましても、ベルジュ公爵とアルマスだって年が離れているでしょう?」
 親子ほども歳が離れていれば、敵視する理由もないのではないか。
 だが、オディロンは薄く笑った。
「王女様の考えは甘ちゃんだな。この立場になれば、年齢など関係ない。むしろ、この若造がという思いが強いのではないのか?」
 その言葉に、エメリーネははっとした。確かに、オディロンの若さと王位継承権を持つ血筋は、アルマスにとって脅威でしかない。
「宰相閣下も公爵家だが、向こうには王位継承権が残っていない。いや、ずっとたどればいつかはそこに到達するかもしれないが、それも王女様と俺が死に、次の国王をどうするかという話があって始めて調べられるだろう。生まれ持った血筋のせいで、俺は恨まれているようだ」
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