王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 そこでオディロンは、冷めた紅茶を一気に飲み干した。すぐにシーラがお茶のおかわりを淹れる。それを止めようとしなかったオディロンは、やはり喉が渇いているのだろう。
「つまり、宰相閣下も王配を望めるわけだ」
 蛇のようなアルマスの視線が思い出され、エメリーネはぶるっと身体を震わせる。
「それを確実なものとするためには俺が邪魔だと思うだろうな」
 オディロンの言いたいことをなんとなく理解した。
 そして一度目の人生は、そのアルマスの目論見がうまくいったのだ。
 オディロンはエメリーネの社交デビューの場にいなかった。そしてエメリーネはアルマスの瞳の色と同じ宝石をつけ、彼と幾度も踊った。
 となれば、世間はエメリーネとアルマスの関係を疑い始める。疑い出せばそれが噂になり、事実にしやすくなる。
 それでもかろうじて、国王がエメリーネの結婚にだけは慎重だったおかげで、すぐにアルマスとの婚約は整わなかった。そしてその後は思い出したくもない。
「反吐が出るわね」
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