偽装結婚の相手は疑い深い脳外科医でした
彩子は司法書士事務所の代表というだけあって頭の回転が速く、決断力もある。
そして誰に対しても分け隔てなく接し、愛情深い。
ただ、今のように少し天然で空気を読まないところもある。
「私はただ、この人が勝手にこの家に入ってきたみたいでびっくりして」
「俺は彩子さんから預かっている鍵を使って入ったんだ。驚かせたかもしれないが、勝手に入ったつもりはない。それに見覚えのない奴が彩子さんの通帳を持って目の前をウロウロしてたら不審に思うのは当然だろ? 入金するって話もまだちゃんと――」
「あ、あのっ、そのことはまた……後で説明しますから。えっと……不審に思われても仕方がないですけど。とにかく私はこの家の住人で、彩子さんの事務所で働いてるんです。怪しい者ではありません」
咲良は入金のことを口にした遥人に慌てて声をかけた。
改装の完了が目の前に迫った今、彩子に知られるわけにはいかない。
相変わらず誤解されているようでうんざりしているが、この男性が不法侵入者でなく彩子の甥とわかりひとまずホッとする。
「そうよ。言ってなかったけど、咲良ちゃんにはうちの事務所で働いてもらってるし、この家に住んでもらってるの。遥人が心配する必要はないわよ」
入金という言葉を聞いていなかったのか、気にしていないのか、いつもと同じ呑気でマイペースな彩子に安堵する。
「ここに住んで、事務所で働いてる?」
彩子とは逆に、男性は神経質な声でそう言って、大きく顔をしかめた。
「彩子さん、どういうことだ? この家が気になるなら、俺が住んでもいいって話したと思うけど」
そして誰に対しても分け隔てなく接し、愛情深い。
ただ、今のように少し天然で空気を読まないところもある。
「私はただ、この人が勝手にこの家に入ってきたみたいでびっくりして」
「俺は彩子さんから預かっている鍵を使って入ったんだ。驚かせたかもしれないが、勝手に入ったつもりはない。それに見覚えのない奴が彩子さんの通帳を持って目の前をウロウロしてたら不審に思うのは当然だろ? 入金するって話もまだちゃんと――」
「あ、あのっ、そのことはまた……後で説明しますから。えっと……不審に思われても仕方がないですけど。とにかく私はこの家の住人で、彩子さんの事務所で働いてるんです。怪しい者ではありません」
咲良は入金のことを口にした遥人に慌てて声をかけた。
改装の完了が目の前に迫った今、彩子に知られるわけにはいかない。
相変わらず誤解されているようでうんざりしているが、この男性が不法侵入者でなく彩子の甥とわかりひとまずホッとする。
「そうよ。言ってなかったけど、咲良ちゃんにはうちの事務所で働いてもらってるし、この家に住んでもらってるの。遥人が心配する必要はないわよ」
入金という言葉を聞いていなかったのか、気にしていないのか、いつもと同じ呑気でマイペースな彩子に安堵する。
「ここに住んで、事務所で働いてる?」
彩子とは逆に、男性は神経質な声でそう言って、大きく顔をしかめた。
「彩子さん、どういうことだ? この家が気になるなら、俺が住んでもいいって話したと思うけど」