偽装結婚の相手は疑い深い脳外科医でした
まだ働き始めて三カ月足らずだというのに、十分すぎるほどのお給料が支給され、住まいまで用意してもらえた。その上慰安旅行とは。
このあまりにも恵まれた環境には感謝しかない。
すべて彩子のおかげだ。
大学卒業後に就職した食品会社が倒産したのと同時期に祖父が亡くなって、これ以上ないほどに落ち込んでいた時に、思いがけず彩子と再会した。
互いに近況報告をする中で、彩子は涙を流して祖父の死を悲しんでくれただけでなく、彼女が代表を務める司法書士事務所で働かないかと声をかけてくれた。
『事務の女性が退職するから求人を出すつもりなんだけど。よかったら咲良ちゃん、うちに来てもらえない? 私を助けると思って。どうかな?』
決して恩着せがましくないサラリとした口ぶりは、彩子の気遣いだったはずだ。
そんな、彼女の人としての大きさと優しさに甘えさせてもらってから三カ月。
感謝の気持ちは日に日に大きくなり、この先も長く彩子の事務所で働きたいという気持ちも強くなるばかりだ。
「感謝するのは私の方。咲良ちゃんのおかげで事務仕事がはかどって助かってるし。あ、遥人もわざわざありがとう。忙しいのにごめんね」
彩子は顔をしかめたままの遥人に気付き、ははっと笑いながら声をかける。
「俺のことは別にいい。それよりさっきの話だけど、よく知らない相手をこの家に住まわせるって――」
「はいはい。その話ならもういいじゃない。私、お腹がペコペコなの。ねえ、ハンバーグだよね、楽しみすぎる」
彩子はお腹を押さえ、大袈裟な声をあげた。
「今日はいつもより大きめのハンバーグです。すぐに用意するのでテレビでも見て待っていてください。……ん?」
咲良は首を傾げた。
「あの。甥っ子さんは、どうされます?」
いきなり現われた彩子の甥、遥人はこれからどうするのか。
「どうって?」
このあまりにも恵まれた環境には感謝しかない。
すべて彩子のおかげだ。
大学卒業後に就職した食品会社が倒産したのと同時期に祖父が亡くなって、これ以上ないほどに落ち込んでいた時に、思いがけず彩子と再会した。
互いに近況報告をする中で、彩子は涙を流して祖父の死を悲しんでくれただけでなく、彼女が代表を務める司法書士事務所で働かないかと声をかけてくれた。
『事務の女性が退職するから求人を出すつもりなんだけど。よかったら咲良ちゃん、うちに来てもらえない? 私を助けると思って。どうかな?』
決して恩着せがましくないサラリとした口ぶりは、彩子の気遣いだったはずだ。
そんな、彼女の人としての大きさと優しさに甘えさせてもらってから三カ月。
感謝の気持ちは日に日に大きくなり、この先も長く彩子の事務所で働きたいという気持ちも強くなるばかりだ。
「感謝するのは私の方。咲良ちゃんのおかげで事務仕事がはかどって助かってるし。あ、遥人もわざわざありがとう。忙しいのにごめんね」
彩子は顔をしかめたままの遥人に気付き、ははっと笑いながら声をかける。
「俺のことは別にいい。それよりさっきの話だけど、よく知らない相手をこの家に住まわせるって――」
「はいはい。その話ならもういいじゃない。私、お腹がペコペコなの。ねえ、ハンバーグだよね、楽しみすぎる」
彩子はお腹を押さえ、大袈裟な声をあげた。
「今日はいつもより大きめのハンバーグです。すぐに用意するのでテレビでも見て待っていてください。……ん?」
咲良は首を傾げた。
「あの。甥っ子さんは、どうされます?」
いきなり現われた彩子の甥、遥人はこれからどうするのか。
「どうって?」