魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
<グルシアの仕事>

「大魔女アレクサンドラの処遇についてなのだが」

グルシアは、自分の部下である中級天使数人と、会議室の長机を囲んでいた。

「アレクサンドラは、ニンゲン界に降ろしてあります」

中級天使が報告を始めた。

「サリエル様の教会の隣のマンションですから、天使結界は万全です」

グルシアがうなずいた。

「ご夫婦という立場で入居すると、マンション管理会社には言ってあります」

「・・・・んと、まぁ、いいが」

グルシアの返事に、間が空いた。

「24時間監視体制なのと、観察期間がどのくらいになるのかわからないからと、サリエル様がおっしゃったので・・・」

大魔女と夫婦ごっこか、いやな予感が山ほどするが・・仕事は進めなければならない。


今まで敵だった奴を24時間監視するのはいいが、夫婦という設定は悪趣味すぎる。

グルシアは腕組みをしたまま、頭をたれた。

「アレクサンドラは外国から帰国して、グルシア様と結婚したという設定にしてあります。
多少おかしな言動があっても、外国育ちなら周囲も寛容だと、サリエル様が・・・」

部下の天使の言葉に、グルシアは額にしわを寄せて腕組みをした。

全く、サリエルは仕事が早すぎる・・・というか、手回しが良すぎる。

この先、徴(しるし)をつけることができなければ、封印するしか手段はない。

浄火の炎の問題もある。

「百合の魔女」は未知数だ・・・問題が重すぎる。

グルシアは頭を抱えた。

< 28 / 92 >

この作品をシェア

pagetop