魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
<魔女の無害化作戦>

魔女の邪悪、つまり魔力を抜く事。

それは、ニンゲンとして健全で、規則的な生活習慣をつけることから始まる。

通常、魔女は酒を主食とし、たばこや葉巻、濃いコーヒーを好む。

眠る事も、疲れを感じることもない。

魔界や魔力供給のある状態なら支障はないが、ニンゲンの体になると、すぐに限界がきて病気になる。

睡眠、食事、入浴、着替えをすることから始まり、日常のこまごまとした雑事をさせることは、邪悪な事を考える時間を与えないためにも、必要な事だ。

「大魔女、アレクサンドラ。これ以降、君の無害化の準備をしていく。
監督は天使長である私だ」

「ハイハイ、ご苦労さんなこって・・天使長様の手をわずらわすなんてね」

魔女はふてくされる様子を見せたが、すぐに挑発するように目を細めた。

「まず、ニンゲンの生活に慣れることが重要だ。
どの程度無害化したのか、その見極めも私が行う」

主導権がこちらにあることを、常に見せつけねばならない。

魔女と向き合うように、グルシアは隣のベッドに座った。

魔女はそっぽをむいて、無関心を装っている。

「君は大魔女だから、24時間監視だ。
そのために私と夫婦という設定で、ここで暮らすことになる」

その言葉を聞いて、魔女はコテンとベッドにひっくり返り、腹を抱えて大笑いした。

「はぁーーー、ぐぇーー、なんでアンタと夫婦ってゆー流れになるんだよぉ!!」

そこで起き上がり、苦しかったのか、一息入れた。

「夫婦つーのはなぁ、お互い好きあってなるもんだぜ。
そのくらいニンゲン界の常識だろうがっ!!」

魔女は下品に中指を立て、グルシアを挑発した。

グルシアは大きくうなずき、同意を示した。

社会的に、まっとうな論理だ。

「仮面夫婦でいいだろう。それに嘘で塗り固めるのも、魔界の得意分野だろう」

グルシアはイラつきを抑えて、低い声で答えた。

夫婦としてこのニンゲン界で暮らすなら、もう少し見た目年齢が高い方がいいのだが。

女子高生を連れ込んだと、疑われてしまうのはまずいな・・・

考え込んでいるグルシアに対して、魔女はさらに挑発を仕掛けた。

「ヘヘヘ・・アンタの好きなオンナは、きれいなお姫様だ。そうだろう?」

魔女たちがハニートラップをしかける時は、ターゲットの情報収集、身辺調査を行う。

優良な精液を採取するための、必要な準備だ。
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