魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
魔女は体を揺らしながら、グチグチと要求を続ける。

グルシアは舌打ちしながらも、キッチンの冷蔵庫を開けた。

ブルーチーズを出し、戸棚を開けてクラッカーの箱もついでに取ると、換気扇のスイッチを入れた。

「こっちに来い。寝室での煙草はダメだ。臭いがうつるからな」

グルシアはグラスにワインを注ぎ、クラッカーにチーズをのせた皿をテーブルに置いた。

灰皿とライターも一緒に置いた。

魔女は女子高生の制服姿で、もそもそとリビングのテーブルの前に座った。

「アンタも付き合えや。いやぁ、清廉潔白な天使長様は、こんな事はできねぇってか」

魔女は面白そうに、チェシャ猫のような笑いを浮かべた。

が、グルシアは無視して煙草を一本取り、ライターで火をつけた。

「ほうっ、天使長様、たばこを吸うんですかぁ?そんな事をして、いいんですかぁ?」

魔女は珍しいものを見るような視線をやり、くっくっとまた笑った。

グルシアは、煙を吐き出して

「ニンゲン界に出張も多いからな。
それなりに、ニンゲンとしての付き合いも、やらなくてはならない」

「漆原教授もタイヘンなんだな」

愛らしい少女のような笑顔をみせたが、すぐに煙草に火をつけ、目を細めて満足げに煙を吐き出した。

やっぱりこいつは魔女だ。

美少女の姿をしているが、だまされてはいけない。

「ワインは、まずまずのセレクトだな。神への供物は手をぬけないからな」
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