魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
「アンタに捕まるのも、時間の問題だと思ったしね」

自分の吐いたたばこの煙が、ゆっくりと窓の方に流れていくのを、目で追っていた。

偽りの魔女。

ふと、見ると、魔女は椅子の背もたれに寄りかかったまま眠っていた。

ひどく無防備で、美少女らしからぬ、よだれをたらしている。

今はニンゲンの体なので、さすがに押し寄せる疲労に耐えられなかったのだろう。

グルシアは立ち上がり、魔女の横に立った。

自分には強い魔界耐性がある。

先ほどは手首をつかんでも、浄化の炎は出現しなかった。

グルシアは人差し指で、そっと魔女の髪をすくように触れた。

なんの変化もない・・・魔女は泥酔している。

そのまま頬に指をすべらせたが・・・魔力探知である指輪の石の色は、変化をしていない。

あの魔法陣と最後の穴を封鎖する魔法で、魔力を使い切った状態なのだろう。

「おいっ、寝室に行って寝ろよ」

グルシアは指先で肩をつつくと、魔女はぐでんと、前のめりに倒れ込んだ。

グルシアは大きく息を吐くと、魔女を抱き上げて寝室に向かった。

ベッドに放り投げるようにしても、起きる気配がない。

布団と毛布を素早くかけてから、そのままベッドサイドに立ち、魔女の寝顔を眺めた。

幼いこどものように少し口を開けて、頬をピンクにして眠っている。

眠りは邪悪を封じる。

まずは、この魔女だが、魔女でない「荒木沙羅」をニンゲンの生活に慣らすことが最優先事項なのだ。

グルシアはリビングに戻り、残ったワインを一気飲みした。
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