魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
<魔女のニンゲン修行生活>
次の日の朝、三つ揃いのスーツにきっちり身を包んだグルシアは、キッチンテーブルの上にコンビニのレジ袋をドンと置いた。
制服姿の魔女は、眠そうに椅子にだれて座っている。
髪の毛はボサボサ、紺のブレザーもしわだらけで、胸元のリボンもあらぬ方向にずれている。
「いいか。この中に、朝飯、昼飯のサンドイッチと飲み物が入っている。
タオルと歯ブラシ、洗顔ソープもある。顔を洗って、歯を磨くんだ」
「朝は顔を洗う?歯を磨く?ああニンゲンの朝の儀式ね」
魔女はうーーんと、伸びをした。
グルシアは上着のポケットから、スマホとクレジットカードを取り出した。
「わからなければこれで調べろ。
あと生活に必要な物、下着とか寝間着、着る物をネット通販で買え。
支払いは、このカードを使えばいいから」
魔女はスマホを細い指先でひっかけて、引き寄せた。
「この使い方は知っているか?」
「うん、大丈夫。これは・・何とかなる」
その指先、爪は桜貝のようできれいだが、手首は浄化の炎でできた火傷の跡が、薄赤くついている。
スマホから顔を上げない魔女の姿を見て、グルシアはサリエルの言葉をかみしめていた。