魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
魔女と接する時は、姫君のように対応しなくてはいけない。

「私はこれから、天界の会議に出なくてはならない。夕方には戻る。
わかっているな。君はここからは出られない。
ここの敷地自体に結界が張られているから、もし出ようとしたのならば・・・」

「わーぁってるよぉ。天使がすっ飛んで来るんだろ。そんでアンタも来るんだろが」

魔女は椅子の上で体育座りをして、スンと鼻をならして顔を埋めた。

「コーヒー・・・濃いやつ、飲みてぇ・・煙草吸いてぇ・・・酒飲みてぇ」

グルシアが立ち上がった。

「コーヒーは・・台所に粉とコーヒーメーカーがある。
使い方は・・ああ、時間がないな。自分で調べろ。酒と煙草はダメだ」

魔女はスマホを手に取り、ポツポツ何か打っている。

「魔界との連絡も一切取れないからな。何かあればすぐに私は戻る」

グルシアは、アタッシュケースを手に取った。

「トイレや風呂は大丈夫だな・・一人でできるな。シャワーも浴びろ」

魔女はスマホに目をやりながら、グルシアの言葉にコクコクうなずいた。

「では、おとなしくしていろよ。・・行ってくる」

グルシアは、コホンと小さなせきをして、スマホに目を落としている魔女に言った。

「こういう時は、「いってらっしゃい」と言うのが、ニンゲン界のマナーだ」

魔女は興味なさそうに、スマホを見たままで、小さな声でつぶやいた。

「いってらっさぃ・・」

こいつは、反抗期の女子高生か?

グルシアは大きくため息をついて、玄関のドアを開けた。
< 48 / 92 >

この作品をシェア

pagetop