魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
まったく、魔女は一日中、ネットやテレビで学習したのは、わかるが、何を見ていたのか?

夫かぁ、オットね・・・グルシアはコーヒーの香りを複雑な思いで胸に入れた。

リビングのテーブルの上には、淡いクリーム色の薔薇とかすみ草が飾られている。

「この花は・・どうした?」

「ニンゲン界は、花があるから。だから一緒に頼んだ」

魔女は指先でそっとカスミソウをつつくと、小花が揺れた。

「魔界には植物がないんだ。
だからニンゲン界に来た時は、薬草も探すけど、花の咲いている所にも行くようにしている」

「そうなのか・・」

グルシアはネクタイをゆるめながら、花の香を楽しんでいる魔女を見た。

薬草の知識もだけでなく、花を愛でる感性をもっているのか。

それに、思ったよりおしゃべりだ。

魔女はホットケーキを皿にのせて、トンとテーブルの上に置いた。

「早く食えや。冷めてしまう」

なぜか口を尖らして、グルシアの顔をガン見している。

「早くっ!!」

魔女の手料理。

呪いをかけるために、髪の毛などの呪物を体内に入れる手段として使われる。

やや焦げ付いたいびつな形のケーキを、グルシアは見つめた。

グルシアのナイフとフォークを持つ手が止まったのを見て、魔女はウキキと笑った。

「呪いなんてかけてないぞ。でも媚薬を入れたら面白かったろうなぁ!
アンタがさぁ、もだえるのを見るのも一興かもね」

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