魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
「受け答えは、会話は問題なさそうですね。
あとは国語の読解力がどのくらいできるか、筆記試験の出来をみないとわからないけど」

「はい・・・そうですね」

漆原は同意の答えをしたが、あの威圧的な緑の瞳が、何を示しているのか考えていた。

樫崎先生がボールペンを置いて、ふうとため息をついて、独り言のように、

「あれだけ綺麗な子だと、他の女子生徒が、やっかんでいじめをすることが結構あるのですよ。
それに外国生活が長いと、ちょっとしたことでも、誤解をされますしね。」

「そうなのですか・・・」

漆原は上の空で返答をした。

「思春期、青年期の友達関係はね、表面は仲良くしていても、SNSの裏アカで悪口を言い合ったりするので」

樫崎先生は専門家らしく、コメントを付け加えた。

しかし、あの妖艶さ、威圧感はいったい何だろう・・・漆原は手元の書類に目を落とした。

空気の揺らぎ、軽いめまい・・・

ふと、見ると左手のカレッジリングの宝石がわずかに変色している。

石が、微弱な魔力を感知したのだ。

あれは・・・何かの妖(あやかし)か、魔女だ!!

「ちょっと、失礼します!」

漆原は書類を机に叩きつけるように置くと、急いで教室から出て窓を開けた。

あたりを見回したが、校舎の外には誰もいない。

雪がひらひらと、銀杏並木の間に舞い落ちてくるだけだ。

漆原は、カレッジリングを口元に当てた。

「サリエル!魔女がいるっ!ここに出現した!!
すぐに空から探索してくれ。私は地上を見るから」

その時、風がびゅうとらせん状に吹き、雪片が漆原の顔に強く当たった。

魔女はすでに逃げたのだろう!

漆原は立ちすくみ、唇をかんだ。

こんな事は初めてだ。

魔女特有の臭い、気配がまったくしなかった・・・
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