魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛

<魔界の地下指令室>

魔界は一見すると、オフィスビルの地下施設のようだ。

コンクリートは打ちっぱなし、いくつもの配管パイプが天井を走り、無機質で色がない。

床や壁はグレーの無彩色を基調に、砂漠を思わせるサンドベージュや乾いた苔色の迷彩色が所々混じる。

見習い魔女のグリンカは、足にまとわりつく黒ローブをさばくのに苦労しながら、鈍く光るステンレス扉を開けた。

そこはうす暗い指令指揮室。

壁際にモニター画面がいくつもならんでおり、映し出された広域地図に、いくつもの赤と緑の点がチラチラ動く。

「K103地点。そこはサキュバスとブッキングしそう。K107のほうに移動して。
そっちに居酒屋がある」

紫のフードを深くかぶった小柄な娘が中央の座席に座って、ヘッドセットをつけ指令を送っている。

グリンカは邪魔をしないように、そっと声をかけた。

「アレクサンドラ先生・・・ニンゲン界で大天使と接触したと聞いたのですが!」

あの女子高生、荒木沙羅が、能面の表情で振りむくと、するりと紫のフードがずれて、漆黒の髪が乱れ落ちた。
< 7 / 92 >

この作品をシェア

pagetop