魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
魔女は指先にぐぐぐっと力を入れ、腕から抜け出ようとしたが、無理だった。

「ちゃうぞ・・・さっき、ミントキャンディなめたけど・・・」

外に出た時、缶ビールを一気飲みしたのが、ばれたかと思って声が小さくなった。

魔女の頭の上で、少しくぐもった低い声が響く。

「もしかすると・・・君の本質は女神系ではないか?
何かの間違いで、魔界落ちしたとか」

「そんなはずはないぞ!!ありえない!!」

またもやバタバタしながら、魔女が叫んだので、グルシアの抑え込む腕に力が入った。

「君は仲間を助けるために、自分を犠牲にしようとしたではないか?
次に私のために、薬を買いに外に出た。結界破りをしてまでな。
魔界の者ならば、絶対にこんな行動をしない」

魔女は抜けだすのをあきらめたのか、おとなしくグルシアの腕の中に納まった。

「んでも、魔法陣20個埋め込んで、アンタらを火の魔法で攻撃しようとしたんだぞ?」

魔女は次に、どんな展開がくるのか体を固くした。

「ん・・ああ、確かにそうだな・・・」

グルシアは魔女を抱きしめたまま、考え込んでいた。

あれは攻撃というより、防御の魔法、いや、大規模な花火だったようにも見えるが・・・

「魔界耐性を考えると、私の本質は魔界の者かもしれない。
しかし神は、私に純白の翼を下賜された。まるで君と反対のように思える。
それに君は・・・百合の花だし」

ふと、グルシアの腕がストンと緩んだ。

「おいっ・・・」

魔女が重たくなった腕をどけて、何とか起き上がると、グルシアは眠り込んでいた。

「ああ・・まったくぅ」

魔女はしばらくの間、眠っているグルシアの顔を見ていたが、その髪に触れた。

黒髪が指の隙間から落ちると、キラキラと雲母のように輝く。

「あんたは魔界の者じゃないよ。闇の天使だ」

「そしてお姫様の騎士なんだよな・・・」

魔女はグルシアの首元に軽く唇を触れると、自分のベッドに戻り布団にくるまった。
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