魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
紫のローブを許されるのは、魔女の最高ランクで、魔界の幹部だ。

「ああ、グリンカ、もう話が広まっているのか?」

アレクサンドラの緑の瞳が細められ、グリンカに微笑みかけた。

「はいっ、すごいです!!あの大天使と直接対決するなんて」

荒木沙羅は思い出したのか、くくっと含み笑いをした。

「いや、対決じゃない。ちょっと、顔を見に行っただけだから」

ニンゲン界では漆原先生と呼ばれた大学教授、天界の大天使長、グルシアも例外ではない。

あの大天使は、まったく気づく様子がなかった。

誰が考えたって、魔女が受験生に姿を変えるなんて思いつかないだろう。

「でも、あの大天使長は、すぐに魔女を見つけるじゃないですか?
どうやって先生が魔力を隠ぺいしたのかって、みんなで騒いでいたんです」

グリンカが興奮して前のめりになったので、赤い髪のおさげがぴょんと揺れた。

「冷気や霧、雨や雪は魔力を覆い隠す。雷も有効だがね。
あの時は、ちょうど雪が降りそうだったから、都合が良かった。

天候を見極めるのも、魔女にとって大事な事だ」

キーボードを叩きながら、アレクサンドラが答えた。

「はぁーー、勉強になります」

グリンカは尊敬のまなざしで、コクコクうなずいた。

「それで、ここに来た用事は?」

アレクサンドラの質問に、グリンカは言いにくそうに口を歪めた。

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