魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
サリエルが、大きな扉に手をかけると、中は薄暗く、ろうそくの明かりがいく筋になってもれ出ている。

魔女は落ち着かないのか、そっとグルシアのスーツの裾を引っ張った。

「大丈夫だ。問題ない。今の君は魔力がないから、普通のニンゲンと同じだ」


「うん・・・そうだね」
グルシアは少し力を入れて、魔女の手を握った。

その手は小さく、冷たい。

グルシアは魔女と手をつないだまま、中央通路を歩いた

天界関係者らしい、教会の隅に数人、固まってこちらをみて、ひそひそと話している。

夫婦という設定なのだから・・・

別に構わないとも思うが、情が入りすぎていると思われるだろう。

サリエルが横目で二人を見て、肩を震わせて笑っている。

しゃくにさわるが、ふりほどくわけにもいかない。

正面の大きな祭壇の前に、グランドピアノが2台置いてある。

「調律が、今ちょうど終わったところでして。
どうですか?漆原先生、一曲弾いていただけないですか」

サリエルは、促すようにピアノのほうに手を伸ばした。

「先生のピアノはプロ級ですからね。即興でひとつお願いしますよ」

サリエルはキラキラの笑顔で、魔女に視線をやった。

「奥様もぜひお聞きになりたいでしょう?天界の音色を」

魔女はあいまいに微笑み、目を細めた。

これが今回、サリエルの仕組んだ試験。
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