魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
天界の音は、邪悪な者にとって耐えられない苦しみをもたらし、その場所から逃げ出そうともがく。

「そうですね・・・では、やりましょう」

グルシアの言葉で、魔女の手がすっと離れた。

「奥様はピアノの側にどうぞ」

サリエルはピアノのすぐ脇、譜面をめくる係用に置いてある椅子に促した。

グルシアはピアノの前に座り、鍵盤に指を置いて響きを確認した。

ポーーーン・・・・・・・

教会の高い天井は、残響時間が長い。

サリエルは、腕組みをしてうなずいている。

グルシアは、横に座っている魔女を見た。

もしこの音に耐えられず、逃げだしたら、封印措置が決定になる。

魔女の視線はグルシアに、いや、ペイズリー柄のネクタイに向けられて、満足げに微笑んだ。

サリエルがうなずくと、波紋が広がるように緊張感が走る。

一拍遅れて、グルシアの指がピアノの鍵盤に触れた。

♪・・・♪

静かに音が広がる。

その旋律のイメージが、グルシアの脳裏に浮かんだ。

白い百合を腕に抱いて、うつむいている黒髪の女神。

彼女は、青い炎が燃えたつ闇の中、静かにたたずんでいる。

青の炎は飛び跳ねて曲線を描き、しずくになり、ゆっくりと女神を封じ込めるよう鳥かごの形をつくっていく。

その時、魔女が立ち上がり、もう一台のピアノの前に座った。

グルシアの音に合わせて、魔女の指も鍵盤で跳ねた。

♪・・♪・・

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