魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
グルシアは目を閉じた。

暗闇の中で、二つの音色が軌跡を描いて、光り輝いて飛びかう。

その光は、幾重にも重なり、絡み合って魔法陣を描く。

魔法陣の中央が開け、そこは荒野の一本道が続く光景。

汚い幌馬車と、犬、幼いこどもをつれたボロボロのドレスを着た女たちが続く。

旅芸人の一行だ。

今日も野宿だろうか、帰える場所もなく、さすらう流浪の民たち。

どこにいっても嫌われ、除け者にされ、希望もなく、流木のように流されて生きていく。

♪♪♪・・・

魔女の音が変わった。テンポが速い。

♪♪♪・・・

音が合うと、青い炎の帳(とばり)が開けて、違う風景が見える。

石畳の古い町並み、窓からランタンの明かりがもれる。

そこは、場末の酒場。

男たちが、酒を飲み、大声で笑い合い、乾杯のジョッキが打ち合わされる。

たばこの煙、焼いた肉、汗と機械油の臭いも混じる。

古ぼけたピアノを弾くのは、鼻の頭が赤い酔っぱらいのオヤジで、その指先から音が跳ね出る。

調子はずれの音に合わせて、酒場中に手拍子や、足を踏み鳴らす音が渦を巻いて広がる。

一人、二人・・・次々と立ち上がり、老いも若きもステップを踏み、手を取り合いダンスが始まった。

1日のきつい労働が終わり、酒を酌み交わして、しゃべり、笑い、その日の終わりを楽しむ。

明日は明日の風が吹く。

今が楽しければ、それでいい。


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