魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
「あいつには、まだ何らかの干渉する力を持っているのかもしれない」

グルシアは腕組みして、青い炎の軌跡を思い出していた。

「でも、邪悪ではないと思うよ。なんというか、あきらめ?諦観の境地?」

サリエルは、意味深にグルシアを見た。

「それにグルシア、君はなぜ彼女に音を合わせた?」

「ああ、つられてしまったな。大魔女は予測不可能な動きをする・・」

「彼女は百合の魔女だから・・・こちらの予想を超えてくるのかもしれないね」

サリエルは真顔でうなずいて、結果を言った。

「それでは、再判定ということになるかな」

グルシアは納得したという表情をしたが、すぐに顔を曇らせた。

「封印を免れたとしても、徴(しるし)をつけることが不可能なら・・・どうなる?」

その問いに、サリエルは渋い顔をした。

「徴(しるし)を無理につけようとするなら、浄化の炎が出現する可能性が高い。
天界の判断としては、あえて天使を危険にさらす事はしないだろう」

「・・・どちらにしても封印になるのか?」

グルシアは、ペイズリーのネクタイに指先を触れた。

「そうだね。徴(しるし)の無い魔女を、ニンゲン界に置いておくことはできない」

それならば、アレクサンドラを無害化しても意味がない。

選択肢は封印しかない。

グルシアは、苦し気に息を吐き出した。

「彼女の魔力が、無くなっていることを証明するだけでは、無理なのだろうか」

「どこかで魔力を補充するために、魔界の者と接触をする可能性もあるからね」

サリエルは言いよどんだが、続けた。

「今回は前例のないケースだから・・・」

「くっ!・・臭いが・・する!!」

グルシアが急いで窓を開け、顔を出して臭いの元を探ろうと左右を確認した。

「魔女の臭いだ!!」

「アレクサンドラではない・・別の魔女が来ている!!」

グルシアは窓から飛び降り、教会の裏手に向かった。
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