魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
<大魔女リリカとの遭遇>

「キャハハハ・・・」

こんもりとした常緑樹の茂みから、かん高い女の笑い声が聞こえる。

「今日、アンタの泣き顔を、わざわざ見に来たのよ。
これから封印されるんでしょう?」

その声の主は、茶色の毛皮のコートを羽織った若い美女だった。

持っていたたばこをアスファルトの地面に落とすと、細いピンヒールの先で、踏みつけた。

アレクサンドラは教会の壁に背をつけていたが、その女と向き合うように体を構えて、にらみつけている。

「お前だって、いつどうなるか。わからんぞ!!リリカ」

そう言って、壁に背中をつけながらも、教会の入り口のほうに、じりじりと移動を始めた。

教会の中には、邪悪な魔力を持つ者は入れない。

「次はお前がターゲットになるはずだ。天界の力はあなどれないぞ!!」

「あらあら、負け犬の遠吠えってやつね。
アンタが捕まって、今、私が魔女部門の統括責任者になっているの」

リリカは毛皮のコートの打ち合わせを開いて、胸の谷間から黒いナイフを取り出した。

「私がここで封印しちゃおうかしら。今のアンタはニンゲン仕様だもの。簡単だわ」

ピンヒールの先で、コンコンと地面を叩いた。

「どぉかしら?この場所に封印すれば、アンタは毎日毎日、ニンゲンに踏みつけにされるのよ」

「勝手な事はさせないっ!!」

グルシアが黄金の長剣を上段に構えて、魔女をかばうように、大きな翼を広げて前に出た。

「あらぁ、素敵な翼!天使長様でしょう?あなた、なかなかイケメンなのね」

リリカが人差し指を当てて、投げキッスを送った。

「アレクサンドラはねぇ、できそこないの魔女だから、さっさと封印しちゃいなさい。
それとも天使長様は、こーいうロリ系なのが、ご趣味なのかしら?」

ビュンッ・・・

次の瞬間、屋根から緋色の矢がはなたれ、リリカの黒いナイフが石畳に吹っ飛んだ。

「あらぁ、やだ。もう一人来ちゃったの?」

教会の屋根の上でサリエルが緋色の翼を広げて、次の矢を構え、片膝をついた姿勢をとった。

リリカは両手を上げて、降参とばかりにサリエルを見上げた。


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