魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
グルシアが、きっぱりと言い切った。

「とにかく、手を縛れ。サリエルが戻ってきたら、私は命令に従うしかない。
時間がない。

徴(しるし)があれば、魔界も手出しができないし、ニンゲン界で自由に生きていける。
君の好きなワイナリーや酒蔵にも、行けるんだぞ」

そう言って、ベッドに座った。

「うーーーん、わかったよぉ」

その勢いに押されて、渋々グルシアの両手を後ろ手に縛った。

「それでは君の準備だ。できるだけ脱げ!」

「ぎゃぴぃ?」

魔女が、カエルがつぶれたような声を出した。

「そしてこのワインを浴びるんだ。肌にすりこむようにしろ」

「うん・・でもさぁ・・」

まだ、ためらっている。

この魔女は百合の花だから、その本質は邪悪ではないはずだ。

が、魔界で生きてきた時間を考えると、どの程度、汚染されているかは未知数だ。

「あのぉ・・・下も脱ぐのか?
ああ、でも・・・いつ脱げばいいんだ?どうすればいい?」

魔女の間の抜けた質問と、腰が引けているのを見て、グルシアはぐっと額にしわを寄せて目をつぶった。

「徴(しるし)は取りあえず<仮>でいい。キスだけで大丈夫だ。
今は時間がないからな」

グルシアは一瞬、グロいと言った時の、魔女のしかめっ面を思い出した。

「それに、正式な行為は・・・
もっと落ち着いた状態でないと無理だ。
それに君は・・・百合の花だから、無理をさせたくない」

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