魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
サリエルは腕組みをして、大きなため息をついた。

「まったく、よく思いついたものだね。
修道院の神聖ワインを使い、浄化の炎を氷に反転させてしまったとは」

サリエルは、グルシアの何もはめていない指に視線をやった。

「部屋が冷凍庫みたくなって、君たちは氷漬けになっているし、解凍するのに大変・・・」

サリエルが言いかけた時、蛍光灯の明かりが点滅しはじめ、病室の窓のそばで小さくスパークするように稲妻が走った。

ビシッ・・・ビシッ

小さな破裂音がしたあと、低くしわがれた声が響いた。

「グルシア、君がなかなか天界に戻って来ないから、仕事がたまって、困っている」

サリエルとグルシアは、すぐにその声の主を理解した。

けぶる淡い光の中で、紫紺のローブをまとった長老が出現した。

「サリエル、君もだ。すぐに天界に戻り給え」

サリエルは肩をすくめ、グルシアを見て、うなずいた。

「わかりました。失礼いたします」

サリエルの緋色の翼が出現すると、身を隠すように消えた。

「ふむ、グルシア。君が彼女に徴(しるし)をつけたと聞いたが・・・」

長老はコホンと咳をして、魔女の左の薬指にある指輪を指さした。

「アレクサンドラは・・・君の女神になったのか?」

グルシアは返答に躊躇したが、正直に報告をした。

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