魔女の受難と天使の試練・監視という奇妙な同居生活からはじまる愛
「だから、私は約束したのだよ。私の徴をつけて、ニンゲン界で一緒に暮らそうと。

だが、約束した時間に、彼女は現れなかった。
後で知ったのだが、魔女仲間にいじめられていて、監禁されてしまったらしい」

長老は軽く指先で、空に文字を描くと、細い金の杖が出現した。

「その時の私は・・・彼女のために、翼を折られてもいいと思ったのだ。
君と同じように。
そして今も後悔している。
なぜ、彼女を助ける行動を起こさなかったのかと、いや、その力が私にはなかった」

金の杖の先端が、魔女の額に触れた

「この魔女は、アレクシスとよく似ている・・・」

グルシアは驚き、次に安堵の表情を浮かべた。

「君がいないと天界の仕事がまわらない。こちらも困っている。
私の力を貸そう」

その声音はいつもの仕事モードであり、長老が自ら、魔女のために力を貸すなどありえないことなのだ。

「有能な部下を失いたくないし、後悔もさせたくない」

言い終わると、金の杖の先端から、太陽光のような強い輝きが放たれた。

「それでは、君は彼女の手を握りなさい」

長老はグルシアに指示をすると、杖の先端から、線香花火のように青い火花が、パチパチと弾ける。

すぐにグルシアの握る手に、熱と軽い衝撃が伝わった。

目を閉じると、深い海溝のような場所、一筋の強い光が底に向かって矢のように潜っていくのがわかる。

「グルシア、君も私の光が見えるだろう。」

岩場のような隙間にはさまった、見覚えのある指輪の輝きが、見えた。
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