素のまま恋
テーマ当ての返答に緊張してただけで……。
ときめいたなんてこと、ない。ない……はず。
再度、作品を見ている貴公子に目をやって確かめてみると、
ドキン──
胸の鼓動が今感じたばかりのものより、大きく波を打った。
それは、真剣な横顔と眼差しを見たからなのか、簡単に加速していくのを感じる。
自分の心臓か疑いたくなるほどの速さで……。
「詩姫さん」
「え?あ、は……はいっ」
動揺のあまり声が上ずってしまうも、それを隠すように深々と鼓さんへお辞儀をする。
「お招きいただきありがとうございます」
「いえいえ、おかたい場かもしれませんが見ていってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
鼓さんは私の肩を優しく叩くと、貴公子のもとへ。
「……ふふふ」
「なんでしょうか……」
自分の作品の前に立つ貴公子に並んだ鼓さんは突然にこやかに笑い、貴公子は無意識なのか体を引いた。
「成長しましたね、椿冴」
「え?」
「いつも、あなたが生ける花は暗く、重い。よく言えば静かで落ち着いた印象ばかり。けれど……この作品は、とても優しく、華やかで温かみがある」
「そ、そう、ですか」
「しっかりとメッセージせいのある作品ですね、椿冴」
「あり……ありがとうございます」
鼓さんは貴公子の作品のテーマが花を見るだけで分かっているらしく、貴公子は顔を赤らめた。