素のまま恋
「詩姫さん効果かしら?」
「っは!?……な、何を言ってるんですか!」
一瞬だけ大きな声が出るも、声をひそめた貴公子はより赤くなる。
けれど、ふふふ、と鼓さんは笑うだけだった。
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「少し、よろしいですか?」
夏休みだから、暇なら特別レッスンしてやる、と言われて貴公子のレッスンを受けた直後、部屋に鼓さんがやって来た。
「先日、知り合いの方からこれをいただきましてね」
これ、と鼓さんが差し出してきたのは、封筒。
「拝見しても?」
「ええ」
私にも見えるように中身を取り出してくれた貴公子。
そこには二枚のチケットが。
「水族館のチケットですか」
「そうです。私はいいので、たまには二人とも羽を伸ばしてみては?と。詩姫さんもこうしてレッスン通いを頑張っていますし。夏休みなんですから家のことを考えない日が一日くらいあったってバチは当たりませんよ」
にこにこ、となんだか楽しそうな鼓さんは、それにと続ける。
「若い二人で行ったほうが楽しいでしょう。ここでの会話より、幅の広い会話が出来るはずですから。詩姫さんの予定に問題なければ、そのチケットを使って下さいね」
「あ、ありがとうございます」
「それでは、ごゆっくり」
襖を閉め終わるまで、鼓さんは笑顔だった。