素のまま恋

「……で、どうするよこれ」

「どうするって……鼓さんは私にも使うように言ってたけど、別に貴公子が行きたい人と行ったってバレはしないと思うよ?」

「いねぇよそんなの」


そんな即答しなくとも、友達の顔が浮かぶとかないのか、貴公子は。


「俺はお前次第。皆森が行かねぇってんならこれはばあちゃんに返すだけだ」

「そ、そうか……」


せっかくのご厚意を無下にするのも嫌、だけど……貴公子は私と行くのにためらいはないのかな。

憂鬱者同士の気晴らしって出かけたことはあっても、今回は特に理由はないような気がする。

鼓さんは羽を伸ばしてって言われても私と、となると伸ばせるのかも分からない。
先輩後輩、先生と教え子みたいな関係なんだもの。
私といたら、華道のことを忘れることは出来なさそう。

それに貴公子に……気になる人くらい、いてもおかしくないんだから。

おかしく……ないんだよね。

誘う人がいないと言ってたって。



「──い。おい、人の話を聞け」

「いてっ」


不意に額をはじかれ、無意識にうつむいていた顔を上げると、眉を寄せた貴公子と目が合う。


「ったく、全然聞いてねぇな?」

「ご、ごめん。何を?」
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