素のまま恋
暑いから中にいろ、って連絡が来て、現在私は玄関のドアをほんの少し開けて外を見ている。
──あっ来た!
暑そうな顔をして、手には扇子を持った貴公子。
いつぞやに見たアクセサリーだらけの姿になってる……。
じわりじわりと玄関の方へ近付いてきた貴公子は、インターホンをてをのばすも……
「……のぞき見か。バレてんだよ」
わずかな隙間から覗き返され、おとなしく外へ。
「おす……」
「おう。……行くか」
お互いに和装じゃない姿だからか、会話がぎこちない。
暑いね、そうだな、と同じやりとりを繰り返しながら、私たちは電車に乗って人ごみに揺られながら水族館へ。
「そういえば、今日はバイクじゃなかったね」
「ん?当たり前だろ。俺ひとりならまだしも、お前を乗せて事故るわけに行かねぇからな。近場ってわけじゃねぇし」
と、チケットを出して貴公子は先に中へと入っていく。
「綺麗……!」
「暗くていいな」
人はそれなりにいるけれど、はぐれそうな程度ではなく、知り合いもいなさそうで楽しめそう。
それから私たちは順路をたどり、ひとつひとつ見てははしゃいで……主に私の方が。
せっかくだからと一番前の席で見た、イルカショーでずぶ濡れになった。