素のまま恋
ああ、一言加えなければいいのに。
本当、私って可愛げない。
それでも手から券を受け取ってくれた。
「じゃまたね、来れたらまた──」
後で、そう言おうとした時、私が持ちっぱなしの造花が再び貴公子の手へと渡る。
そしてすぐ、貴公子は持参したのかなんの飾りもない櫛をを取り出して器用に残った造花を巻き付けて固定していく。
「何してるの、貴公……子……」
言い終える前にこちらを向いた貴公子は、私の髪に今作っていた櫛をさした。
「……ん、いんじゃね?我ながらいい出来だな」
「え、あの……」
「やる。余った花、例え造花でも勿体ねぇし。……浴衣に合うだろ?」
茎の部分はさすがに返されたけど……。
「……櫛はなんで持ってたの?」
「それは……たまたま」
「本当に?」
聞けば、"たまたまじゃない"って見るからに分かるくらい表情に出てて。
その素直さに口元が緩む。
「あ……余ったら作ってやろうと思ってたからだ。ばあちゃんがよく手芸してた時に俺も真似て遊んだことがあったからな。つっても、即席でもちゃんと作ったから崩れないと思うぜ」
「そ、そうか……なら、ありがたく頂戴します」
最初からこうしてくれようと考えて来てくれていたことに、分かりやすく鼓動が弾む。
静まれ、静まれ。
「じゃ、行くわ。また……って。お前いついんの?店に」