素のまま恋
なんとか息苦しさを落ち着かせ、文化祭がスタートした。
午前中から徐々に集客も売り上げも右肩上がりになってきて、お昼時の一番忙しい時間を私以外のメンバーが入れ替わりながら乗り越え、おやつ時の午後三時も、なんとかうまく立ち回れたと思う。
「やっぱり詩姫ちゃん、一番バリバリ動いてるね、ありがたい」
「いやいや、へろへろだよ私も」
仕切っているカーテン裏に、グラスを片付けそんな会話をしていると、杏奈の声がした。
「詩ー姫ー」
「ん?」
廊下で宣伝をしていた杏奈が指で何かを伝えてくる。
杏奈が指す方向を見ると、入口から貴公子がはいってきたところだった。
私が気付くと同時に貴公子も私を見つけて、あげた半額券をかざす。
「いらっしゃいませ」
「これ、使いに来た」
「ありがとう。席、こちらになります」
誰かと来るのかと思ってたけど、貴公子は一人来店。
「何にしますか?」
一応、文化祭だしお客様だしで貴公子にも変わらない接客をする。
なのに、貴公子はメニュー表を開きながら何か言いたげな顔してきた。
なによ、とこちらも顔でうったえると、
「……変な感じすんだよ。いつも通りじゃねぇと」
つまり、口調がほどよく悪い私でやれと。そういうことなのだろう。
けれど周りの目もあるから、バレない程度にするとしよう。私も変な感じするし。