素のまま恋





その後、貴公子が頼んだものを運びにテーブルへと向かう。


「お待たせしました。……半額なんだからもっと食べればいいのに。どうぞー」

「足りなかったら頼むわ。この券、使い放題なわけだろ?」

「そうだけど。…では失礼しまーす」





他のテーブルを対応しながら、貴公子の様子を横目にうかがっていると、食べ終えたようで席を立った。

そのまま出ていくのかと思えば、なぜか私のところへとやってきて腕を掴むと、次は杏奈のもとへ。


「ちょっと、何っ」

「すいません。少し、皆森先輩借りてもいいですか?」

「え?何で?私に何させるつも……おつもりかしら」

「少し付き合って欲しいところがありまして」


出たよ、貴公子スマイル。
優しげな笑顔の割に私を掴む力は強い。

それに皆森、先輩?先輩って言ったよね?


「詩姫を?あははっもちろん!借りてちゃってどうぞー。詩姫、いってらっしゃーい」

「ちょっと杏奈っ!?何言って──」

「ありがとうございます。では遠慮なく」


引き止めることも理由を聞くこともせず、私は連れて行かれて。
遠ざかる杏奈の笑って手を振ってくる姿をジト目で見つめた。


「……どこに行くのよ!」

「俺らのクラスの出し物、フォトブースを作ったんだよ、そこに行く」

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