素のまま恋


そう、でしょう……?

現に今、あの貴公子が女の子と二人きりのところを見たんだから。

貴公子の中で、私はあくまで先輩アンド生徒ってこと。
文化祭でも他の子が見に来るほどなんだから、モテるのは間違いない。

鼓さんや華道関係者の前ではきちんと貴公子を演じて、学校では見え隠れしてるけれど……本当の素を知ってるから、あの女の子は貴公子の隣を歩いてるんだろうなって、私は思う。
勝手な予想に過ぎないことだけど。


「そっかぁ、わたしは貴公子殿がラブ寄りで詩姫のこと見てるのかと思ったのに。でも詩姫は、貴公子殿のことどう思ってるの?」

「どうって、何も。私からしたら華道の先生ね」


私もある程度、貴公子のことは知ってるつもり。

けれど、私は……先輩であり生徒ってだけ。


それだけ──












明日、レッスンに行きたくない。

こんなこと思うの、レッスン初めての日以来かもしれない。


目をつむった時、ふとした時に、

貴公子と女の子の後ろ姿が出てきて……。

杏奈の前では何も思ってないみたいに言ったのに、気にして行きたくないモードの私がいる。
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