素のまま恋

「な、なんで居るんですが、皆森先輩が。レッスンでもないのに」


鼓さんに咳払いされ、貴公子は咄嗟に言い直す。


「私がお呼びしたのよ」

「え?」


どういうこと?と、鼓さんと私を交互に見る貴公子の前に、鼓さんは座った。


「たまには良いでしょう。この部屋でレッスン以外のことでお話するのも。同じ高校生なのですから」

「は、はぁ……」


意図が分かっていない貴公子。
私もよく分かっていない。


「……根を詰めすぎては、閃きも何もありませんからね。詩姫さんには椿冴のお話相手をして頂きたいのです」


よろしくお願いしますね、と有無を云わさず鼓さんは部屋をあとにする。


お話相手、って言われても……どうすれば。


互いに沈黙していると、貴公子は息を吐いて一通り片すから待ってろと言って、一式をどこかに置きに行った。

部屋でじっと待つこと五分。

湯気の立つお茶を淹れて戻って来た。


「……あー、とりあえず庭でも見るか」


縁側のある方の戸を開け、並んで縁側に座り、ひんやりとした空気にさらされながらお茶を飲む。


「……聞いたよ、大きなコンテストがあるって。頑張ってるって」


とりあえず先程の花の話題にしとこうと、振ってみた。


「ああ……多分それ、俺が大賞逃したところまで話されてんだろ」

「まあ……」
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