素のまま恋
「だよな。そのせいで躍起になって練習してるってこと、ばあちゃんは察してんだろ。だからさっき根を詰めすぎても閃きも何もないって言ってたんだな」
ってことは、私は貴公子が出かけずともその場で話せる息抜きの相手……。
でもどうして私を。
理由を頭で考えていると、どこからかシャボン玉が飛んできた。
「誰だ?隣か?今日はばあちゃんの教室じゃねぇのに」
「でも、綺麗だね」
「まあな」
誰か分からないけど、ありがたい。
シャボン玉を見てるだけでも二言三言、話せてる。
それに、並んでいるから真正面から顔を合わせないのも、今はいい。
とめどなく風で流れてくるシャボン玉を見つめていれば、視界の横でゆらゆらと貴公子が揺れ始めた。
「貴公子?……どうし──え?」
顔を覗き込もうとした途端、
膝へと貴公子が倒れてきて、焦りはしたものの……聞こえてきたのは──『スー、スー』という寝息。
びっくりした……。
「……肌寒いのによく寝れたな」
そうつぶやいても、返ってくるのは寝息だけ。