素のまま恋
それを確かめにきました、と。
本当、こういう話がよそに広まるのは早い。それに嗅ぎ付けるのも。
「そうですか……しかし見ての通り、僕たちは同じ学校に通う先輩後輩ですよ。旅館の方では代々長いお付き合いがありますから、一緒に話す機会も居るところも多々あるのは否定致しませんが」
質問に臆することなく、淡々と話す貴公子。
けれど記者として培った目はその答えだけでは満足しないようで。
またもチラリと覗けば、その目の奥を光らせた。
「なんでも、次期女将へ華道の特別な指導をされているともお聞きしましたがそれは?」
やたら"特別"というワードを強調された気がしなくもない。
それでも、貴公子は冷静そのもので。
「ええ、それは間違いはありません。次期、女将ですからね。それに向けて鼓と女将の同意のもと、僕が担当させて頂いております」
「……ほう、それで会うことや話す機会が増え、恋愛の方に発展した、と」
どうしてもその落ちにしたいのだろう。
その方がネタとしては美味しいもの。
「……そう見えることもあるでしょうね。でも僕らは──」
「椿冴」
後ろから貴公子の言葉を遮ったのは、険しい顔つきの鼓さんだった。