素のまま恋
「中へ戻りなさい」
いつもの柔らかい雰囲気ではなく、鼓さんはいつもは見せない厳しい顔つきで記者を見つめている。
「……行くぞ」
「あ、うん」
私は貴公子と共に家の中へと戻った。
その時、ふと思い出したことがある。
貴公子に膝枕をしたあの日、聞いた音はシャッター音だったのではないかってこと。
あの音に噂、そしてこの記者の流れ。
間違いない。
あの後、鼓さんがあの記者の相手をしてくれたのは間違いない……でも、私たちのことは単なる噂話に過ぎないけど、記者が来るってことは今日だけではなくきっと次も同じことが起きる。
このまま私が教室に通い続けていたら、尚更。
だとしたら──
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休み明け、また一週間が始まるのが嫌だな、と思い机に伏せた。しかし──
「居たっ……皆森詩姫!!」
教室いっぱいに響いた声に顔を上げれば、二年生の貴公子がずかずかと私の方へと歩いてきた。
「っえ、ちょっと何しに──」
「やめるってどういうことだ」
周りの目を気にせず、堂々と私の前に立つ貴公子。
「っ……それは」
「噂のせいか。それともあの記者のせいか」
「だ、だって、またあの記者に何勘ぐられるかわからないし、これ以上飛躍した噂が立ち続けたら……鼓さんにも……貴公子にも迷惑かけちゃうじゃない」
「俺と約束したろ!あの約束、忘れたとは言わせねぇぞ」