エリート同期は私の初恋でした
--海翔side--

「また月曜日。」

櫻井にそう言って別れ、改札を抜ける。

人混みの中を歩きながら、小さく息を吐いた。

……やっと会えた。

今日だけで何度そう思っただろう。

資料室で話した時も。

歓迎会で笑った時も。

バスケの話をして目を輝かせていた時も。

昔と何も変わっていなかった。

いや、少しだけ大人になったのか。

それでも、笑った時に少し目尻が下がる笑顔は、あの頃のままだった。

「櫻井……。」

思わず名前を口にする。

本当は。

ずっと昔みたいに名前で呼びたい。

でも、今はまだその時じゃない。

櫻井は、俺のことを覚えていない。

無理もない。

あれから十八年も経っているんだから。

それでもいい。

今度は急がない。

また一から関係を築けばいい。

同じ会社で。

同じ営業部で。

これから毎日顔を合わせられる。

もう、あの頃みたいに突然離れ離れになることはない。

そう信じたい。

夜空を見上げると、街灯に照らされた桜の花びらが風に舞っていた。

春。

俺たちの止まっていた時間が、ようやく動き始めた。
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