ライバル同期の緒方は魅力的な手をもっている
(やっぱり緒方って、真っすぐで優しいひとなんだ)
胸の奥がじんじんとうずく。今日だけで今まで知らなかった緒方の色んな部分を知ることができた。麻由葉は次第に赤くなる頬を隠すようにやや顔を俯かせる。
「この社畜生活で待ってる人なんているわけないでしょう? それより、緒方の方はどうなのよ」
「俺か? 俺だって一緒だよ」
「社内一のモテ男なのに?」
「モテ男ってなんだよ。俺だって苦労してるんだぞ。モテたい相手には一切見向きされないし」
緒方の声が少しだけ小さくなり、よく聞こえなかった麻由葉は「え?」と首を傾げた。
「でも今日でわかった。相手は外見には一切興味がないし、成績トップで目に付くようにしても意味なかったってことが」
「ん? なんのこと?」
「もっと本質的なところを見てたんだよ。かなり厄介な案件だ」
緒方はそこまで言うと「うーん」と大きく腕を伸ばす。
麻由葉は緒方が何を言わんとしているのか訳がわからなくなってきた。
「ねぇ、それってなんの話? 仕事?」
首を傾げる麻由葉を置いて、緒方はノートパソコンを手にさっさと扉に向かって歩き出す。
「待ってよ」
急いで追いかけた麻由葉は、突然ぴたりと足を止めた緒方の背中にぶつかりそうになって慌ててストップした。
「ある意味どの契約を取るより難しいってことだ」
緒方はそう言うと、長い人差し指をそっと口元に当てたのだ。
胸の奥がじんじんとうずく。今日だけで今まで知らなかった緒方の色んな部分を知ることができた。麻由葉は次第に赤くなる頬を隠すようにやや顔を俯かせる。
「この社畜生活で待ってる人なんているわけないでしょう? それより、緒方の方はどうなのよ」
「俺か? 俺だって一緒だよ」
「社内一のモテ男なのに?」
「モテ男ってなんだよ。俺だって苦労してるんだぞ。モテたい相手には一切見向きされないし」
緒方の声が少しだけ小さくなり、よく聞こえなかった麻由葉は「え?」と首を傾げた。
「でも今日でわかった。相手は外見には一切興味がないし、成績トップで目に付くようにしても意味なかったってことが」
「ん? なんのこと?」
「もっと本質的なところを見てたんだよ。かなり厄介な案件だ」
緒方はそこまで言うと「うーん」と大きく腕を伸ばす。
麻由葉は緒方が何を言わんとしているのか訳がわからなくなってきた。
「ねぇ、それってなんの話? 仕事?」
首を傾げる麻由葉を置いて、緒方はノートパソコンを手にさっさと扉に向かって歩き出す。
「待ってよ」
急いで追いかけた麻由葉は、突然ぴたりと足を止めた緒方の背中にぶつかりそうになって慌ててストップした。
「ある意味どの契約を取るより難しいってことだ」
緒方はそう言うと、長い人差し指をそっと口元に当てたのだ。