ライバル同期の緒方は魅力的な手をもっている
次の日、出社した麻由葉は自分の席に着くとそっとフロアの奥に目をやる。奥のデスクではすでに出社していた緒方が課長と何かを話していた。
昨夜、緒方と一緒に会社を出た麻由葉はそのまま駅の近くの定食屋に立ち寄った。
他愛もない話をしながら、麻由葉は何度かチラッと緒方の箸を持つ手に目をやった。
緒方は指が長いからか箸の上の方を持つようで、長い指を箸に沿わせながら器用に動かす様は美しくすらあった。でもその箸で掴む一口の量は豪快で、そのギャップに麻由葉はひとりくすくすと笑ってしまったのだ。
「なぁに? 朝から楽しそうじゃない?」
しばらくして隣のデスクに、野中美咲が出社してくる。美咲も麻由葉と同じ営業部の同期で、気心の知れた友人だ。
「因縁のライバルとペアになって心配してたけど、案外うまくいってる?」
美咲の声に麻由葉は「まぁね」とはぐらかすように答える。
「その答え方、怪しい」
「怪しくないってば」
きゃあきゃあと話していると、ふと「諸星」という声が向かいから聞こえた。見上げると、課長との話を終えたのか緒方が立っていたのだ。
「フォルダにひとつ資料を入れたから、時間があるときに確認しといて。夕方には戻るから、また打ち合わせよろしく」
今から営業に出るのか鞄を取り出しながら緒方が言う。
「うん、わかった。気をつけて」
麻由葉の返事に軽く手を上げると、緒方はそのまま扉へと向かった。目の前に見えた緒方の手が、残像のように瞼に残る。
麻由葉は隣でニヤニヤと口元を緩ませる美咲を軽く睨むと、早速資料を確認するためにフォルダをクリックした。
昨夜、緒方と一緒に会社を出た麻由葉はそのまま駅の近くの定食屋に立ち寄った。
他愛もない話をしながら、麻由葉は何度かチラッと緒方の箸を持つ手に目をやった。
緒方は指が長いからか箸の上の方を持つようで、長い指を箸に沿わせながら器用に動かす様は美しくすらあった。でもその箸で掴む一口の量は豪快で、そのギャップに麻由葉はひとりくすくすと笑ってしまったのだ。
「なぁに? 朝から楽しそうじゃない?」
しばらくして隣のデスクに、野中美咲が出社してくる。美咲も麻由葉と同じ営業部の同期で、気心の知れた友人だ。
「因縁のライバルとペアになって心配してたけど、案外うまくいってる?」
美咲の声に麻由葉は「まぁね」とはぐらかすように答える。
「その答え方、怪しい」
「怪しくないってば」
きゃあきゃあと話していると、ふと「諸星」という声が向かいから聞こえた。見上げると、課長との話を終えたのか緒方が立っていたのだ。
「フォルダにひとつ資料を入れたから、時間があるときに確認しといて。夕方には戻るから、また打ち合わせよろしく」
今から営業に出るのか鞄を取り出しながら緒方が言う。
「うん、わかった。気をつけて」
麻由葉の返事に軽く手を上げると、緒方はそのまま扉へと向かった。目の前に見えた緒方の手が、残像のように瞼に残る。
麻由葉は隣でニヤニヤと口元を緩ませる美咲を軽く睨むと、早速資料を確認するためにフォルダをクリックした。