同居人がめんどくさい
「亜紀さん...?」

ぼやける視界を手で擦りながら、キッチンの方を眺める。

「目が覚めましたか。」

ぼやーっと映る人影がそう言う。

低い声。

「陣さん...?」

キッチンでゆらゆら動く人影を眺めながら、頭を必死に動かす。

カチャカチャと食器を鳴らしながら、人影が近づいてくる。

「夕飯、できましたよ。」

運んだお皿をテーブルに並べる。

ドラマの中で見るような、整えられた動き。

「ご飯、食べられますか?」

配膳をしながら、その人が声をかける。

近くに来て、ようやくその姿がはっきりと映し出される。

ジャケットを脱いだだけのスーツ姿に、黒字のエプロン。

...陣さんって、こんな服装だったっけ?

まだはっきりとしない頭で、記憶を辿る。

いや、陣さんはもっと、ラフな格好をしていたはず...

それに心なしか、後ろ姿も違って見える。

今目の前で配膳をしているその姿と、昼間の陣さんが全くの別人に見えるのだ。

...あれ、陣さんって、黒髪だっけ?

段々と視界も、頭もハッキリしてくる。

...いいや、違う。陣さんは焦茶色の茶髪だ。

一気に目が覚め、段々と体が強張っていくのを感じる。

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