同居人がめんどくさい
バクバク、と心臓が大きな音を立てて脈打つ。

全身に変な汗が滲む。

「...誰?」

そう尋ねる声に、男の動きが止まる。

こちらを振り返り、私をじっと見る。

怪訝な顔で男を見る私をよそに、男は平然と言う。

「まずは、夕飯でもどうですか?」

男はそう言いながら、エプロンを外し、椅子に座った。

「...食べないんですか?」

少し呆れ気味にそれだけ言うと、男は私の反応を待たず、1人で食べ始めた。

その言い方はなんだか少し冷たくて、棘のある感じがした。

男はこちらには一切目もくれず、夕食にありついている。

「...」

あれはクリームパスタだろうか。

出来立てのパスタを男がフォークで掬うたびに、ホカホカと湯気が上がる。

パスタに絡みつくソースは濃厚そうで、男が口に運ぶたびにとろっと麺から伝い落ちる。

見るからに美味しそうだ。

それを男は遠慮なく、口に運ぶ。

まるで私の存在なんか忘れてしまっているかのように、夢中でパスタを食べている。

さっきまでの丁寧で品のある所作からは想像ができないくらい、ガツガツと食べる。

それを見ているとなんだかこちらまでお腹が空いてくる。

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