真面目だけが取り柄の聖女候補ですが、今日から頑張るのをやめます!
「ミルティーヌ様」

パーティーが終わり、部屋に戻るミルティーヌに、私は声をかけた。
ミルティーヌとは会食などで必要な挨拶や会話はしてきたけど、個人的に話しかけるのは、もしかしたら初めてかもしれない。
ミルティーヌも私に話しかけてこなかったし。
聖女のただ1席を争うライバルとして、お互い無意識に一定の距離を取っていたんだと思う。
でも、私とミルティーヌは唯一同じ立場として話ができる立場同士。
ミルティーヌは今の状況をどう思っているのか、私と同じモヤモヤを抱えているのか知りたかった。

「…はい。どうされましたか?」

ゆっくり振り向くミルティーヌ。
私を見る目が冷たいように感じるんだけど…。

「あの、少し庭園に出てお話しませんか?今夜は風が気持ちいいですよ」

ちょっとしどろもどろになりつつ、私は用意していた言葉を口にした。

「ごめんなさい。疲れているので、今夜は早く部屋で休みたいの…」

ミルティーヌは早口でそう言うと、あっけなく私に背を向けた。

「待って」

思わず引き留めてしまった。
このままじゃダメな気がする。

「なにか?」

「ミルティーヌ様は聖女になることについて、どうお考えですか?」

「今日は疲れていると申し上げました。失礼します」

ああ!取り付く島もない!

「今日はラフィール様と2人でたくさんお話ししましたの!」

焦った私は咄嗟にそう言った。
ミルティーヌの歩みが停まった!

「気になりません?何をお話ししたか?」

「別に…」

と言いつつ、確実に気にしている表情だ。
よし!

「そう言わず、園庭に行きましょう!」

「ちょ、ちょっと…!」

何か言いかけてたのを無視して、私はミルティーヌの腕を掴んで強引に園庭に引っ張っていった。
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