真面目だけが取り柄の聖女候補ですが、今日から頑張るのをやめます!
「ミルティーヌ様に私の気持ちなんてわからない」

自分でも驚くほど低い声が出た。
同じ立場でも、この人と私は一生分かり合えないんだと思う。

「わかりたくもない」

吐き捨てるように言って、ミルティーヌは私を正面から見据えた。

「あなたのように考えが浅く、自分ばかり優先させる人の気持ちなど、一生わかりたくありません。
聖女になることも、王太子妃になることも、人を愛することも、真剣に考えたことなどないのでしょう。
そして、同じ立場の私のことすら、あなたは興味を示さず、何も見てこなかったのです」

何も見てこなかった。
そう言われて、私はなぜか心がギュっとした。
反論したいのに、言葉が出てこない。

「そんなあなたをこの国が聖女として選ぶなら、私はもうなにも知りません。
そのようなことがないよう、私はこれからも努力を続けます。
………ためにも…」

そういって私に背を向け、走り出した。
私はもう追いかける気力もなかった。

ミルティーヌは最後になんて言ったんだろう。
ためにも…?
口の動きを思い出す。

ラフィール様のためにも。

もしかして、ミルティーヌはそう言ったのかな…。
彼女はラフィール様のことが好きなんだろうか…。

「わからない…。もうなんか全部めんどくさい…」

私は投げやりな気持ちで部屋に戻った。
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