稲光家に溺愛される令嬢〜稲光らい様は彼女に夢中〜
 朝は眠かった。

 スクールバッグの中では、
 ニーフェが気持ちよさそうに眠っている。

 私もニーフェも朝は弱い。

 夜になったら眠り、
 朝になったら起きる。
 それが規則正しい生活というんだっけ?

 けれど、異世界でしばらく暮らしていた私には、
 そんな生活はまだ慣れないものだった。

 白薔薇学園は、
 お金持ちな家庭の子どもたちが多く通う名門校だ。

 朝のホームルームが終わると、
 早くも稲光らい様は女子生徒たちに囲まれていた。

 「らい様、おはようございます!」

 「今日もご一緒してもいいですか?」

 そんな声があちこちから飛び交っている。

 その様子を少し離れたところから眺めながら、
 私は心の中で思った。
 ――お金持ちなのは、らい様本人ではなく、
 お父上のほうなんだけどな。

 もちろん、稲光家が名家であることは間違いない。
 それでも、らい様がこれほど人気なのは、家柄だけが理由ではないのだろう。
 らい様の人柄にも、
 惹かれているような、
 ないような気がする。

 私は、人の心情を察するのは苦手なので、
 憶測でしかない。
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