最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
私は昔から、こういうところがある。

平気そうな顔はできるのに、中身は全然平気じゃない。

「怖いなら、帰れば?」

予想していた言葉だった。

だからこそ、少し悔しかった。

私はバッグから教材を取り出す。

「帰りません」

九条くんが目を細める。

「どうせ俺のこと、怖えーとか思ってんじゃねーの」

「......まぁ、はい。怖いです」

即答すると、九条くんが少しむすっとした顔をした。

「……」

「九条くんは、私にとって雲の上の人なので」

「なら――」

「でも」

私は続けた。

「それでも、家庭教師として来た以上、ちゃんと向き合いたいので」

教室が静かになる。

というか、言ってから気づいたけど―――

少し――いや、相当偉そうだったのでは?

慌てて付け足す。

「っ、すみません。

下に見てるとかそういう意味ではなくて……!」

「……変なやつ」

九条くんは小さく呟いた。

「普通、俺相手ならもっと媚びるか、

怖がって何も言えねーのに」

「……」

その言葉に、少しだけドキッとした。

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