最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
「よし」

最後のホームルームも終わって、私は鞄を肩にかけた。

今日は料理当番だし、まっすぐ帰ろう。

晩ご飯、何にしようかなぁ。

そんなことを考えながら廊下を歩いていると―――

目の前を一人の男子生徒が通り過ぎた。

思わず足が止まる。

……綺麗な人。

そんな感想が無意識のうちに頭に流れた。

さらりと流れる青みがかった黒髪を払いながら、

すっと背筋を伸ばして凛と通り過ぎていく。

ただ歩いているだけなのに、自然と周りの人が道をあけていく。

「あ……」

見覚えがある―――

というか、知らない人はいない。

トップ4の一人。

一ノ瀬律くんだ。

昨日、学園長から渡された資料にも載っていた。

頭脳明晰で冷静沈着。

銀縁の眼鏡の奥から覗く揺らがない瞳になぞらえて、

つけられたあだ名は氷の貴公子。

「トップ4のブレーン」とまで呼ばれるほどの人だ。

その横顔はどこか近寄りがたくて、

視線が合うだけで緊張しそうになる。

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