最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
ぺこり、と一ノ瀬くんは丁寧に頭を下げた。

……あれ?

思わず目をぱちぱちと瞬かせた。

怖い人だと思って身構えていたのに、思っていた何倍も礼儀正しい。

「あの……こちらこそ、よろしくお願いします!」

慌てて頭を下げ返すと、一ノ瀬くんは静かに席へ座った。

そして開口一番。

「先に言っておきますね」

「はい?」

「僕は国語が嫌いです」

「えっ」

「特に、現代文」

「えぇっ」

「作者の気持ちを答えなさい、と言われても」

一ノ瀬くんは真顔のまま言った。

「作者本人に聞くのが一番早いと思うんですが」

「……っ」

私は思わず口を押さえた。

< 45 / 72 >

この作品をシェア

pagetop