最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
私は教科書を開いて、一文を指さした。

「この主人公が悲しかった理由も、この一文だけじゃなくて、

その前の会話や行動が全部ヒントなんです」

「つまり」

一ノ瀬くんが教科書に目を落とす。

「本文全体が証拠」

「そうです!」

思わず声が弾む。

「その証拠を集めて、一番可能性が高い答えを選ぶんです」

一ノ瀬くんは黙って本文を読み始めた。

さっきまでとは違う。

今度は、一行一行を確かめるように。

その真剣な横顔を見ながら、私は心の中でそっとガッツポーズをした。

……よかった。

ちゃんと、興味を持ってくれたみたい。

次の瞬間。

一ノ瀬くんが顔を上げた。

その目は、先ほどとは見違えたようにキラキラしている。

「朝比奈さん」

「はい?」

「国語って、意外と論理的なんですね」

その一言が、なんだかすごく嬉しかった。

「論理、という言葉も、元を正せば国語で習うものですから」

「.....!確かに。」

一ノ瀬くんはもう一度、問題文に目を落とした。

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