最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
そこまで言って、はっとする。

……しまった。

こんなこと、絶対本人に言う話じゃない!

「す、すみません! 変なこと言っちゃって!」

慌てて頭を下げると、一ノ瀬くんはくすっと小さく笑った。

「朝比奈さん」

「は、はい」

思わずかしこまった私に、一ノ瀬くんは少し間を置いて、穏やかな声で続けた。

「あなたは本当に、僕達のことをよく見ていますね」

「え?」

「苦手だからできない、ではなくて、

どうして苦手なのかを考えてくれる」

一ノ瀬くんは静かに微笑んだ。

「そんな先生は、初めてです」

その言葉に、今度は私のほうが目を丸くした。

先生だなんて、そんな大げさな。

私はただ、目の前の人に「分かった!」って笑ってほしいだけなのに。

時計を見ると、予定していた時間を少し過ぎていた。

「……あっ」

思わず声が漏れる。

「ごめんなさい。夢中になっていました」

私は慌てて教材を閉じた。

「今日はここまでにしましょうか」

「そうですね」

一ノ瀬くんも静かにノートを閉じる。

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