最下位特待生は、学園トップ4の家庭教師になりまして。
九条湊といえば、九条グループの御曹司で、

学園中の女子が憧れる存在。

そんな人に、

「今日から私があなたの家庭教師です」だなんて言うのだ。

……無理無理無理。

普通に考えたら、一蹴されるに決まってる。

「朝比奈さんって、すごいよね」

以前、クラスメイトが言っていた。

「何にも動じなさそう」と。

違う。

今だって心臓はさっきからうるさいくらい鳴っている。

ただ、顔に出すのが苦手なだけだ。

昔からそうだった。

緊張すると言葉が出なくなり、ぐるぐると考え込んでしまう。

結果、周りからは

「冷静」

「大人っぽい」

「一人でも平気そう」

と評されるのだ。

……本当は、全然違うのに。

今だって、「ほんとに大丈夫かな」

って誰かに愚痴りたいくらいだ。

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